"惜しい天才"から卒業… 西川遥輝は「2021年・侍ジャパンの一番打者」になる逸材。
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【追記 2017.4.8 商品・導入追記しました】
このプロ野球の世界は、全国・いや全世界から選りすぐりの野球超人の集まる
「魑魅魍魎 (ちみ もうりょう)」の世界…。
その中でも「天才」と呼ばれる選手は、どの球団を見渡してみても何人もいます。
どんなボールも対応出来る「打撃の天才」
どの守備位置でも華麗に見せてこなせる「守備の天才」
足が速く、たったの0.1秒の動きにまで神経を伸ばす「走塁の天才」
いや、身体能力ではなくてリーダーシップや、個性的・特殊なフォームの持ち主…
プロ野球は得てして、こうした特殊技能者の集まりです。
しかし、こんな選手がいたらどうでしょうか? 2つや3つもすごい才能があったら?
それは「足も速く」「どんなポジションでもそれなりに守れる」「綺麗に打球が伸びていく」選手…。
北海道日本ハムには、そんな3つもの才能を持つ選手が一人います。
それは今まさに、開花しつつある西川遥輝選手のことをここに記します。
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西川選手といえば、
2016年10月の日本シリーズ「広島東洋カープ」戦が印象に残っているはず。
第5戦で「サヨナラ満塁ホームラン」を放ったあの選手です。
西川遥輝はどんな選手?
↑ 打席に向かう際、左手でヘルメットと頭を合わせるのがクセ。正面から見ると格好良い。
さて12球団見通して、25歳以下の選手の中でも人気上位に挙がる西川選手。
どんな選手なのか?その特徴を挙げてみましょう。
①圧倒的な俊足
野球の原点は「走る」ことにあります。
打ったら、まずは一塁へ走る。打球が飛んできたら、落下地点へ走る。
ピッチャーは打球が飛んだら、ベースカバーに走る。
走ることは、全ての土台になるわけです。
つまり、足の早さは野球をする上では絶対的なアドバンテージなのです。
塁間27.431mを4秒足らずで駆ける俊足、
「塁を蹴るごとに加速していく回転の早さ」は全選手を見てもトップの域でしょう。
この原点に長けている西川選手は、すでに優れた身体能力を持っていると言えましょう。
↑ 右中間に打球を放った1:12から、三塁到達まで11秒(1:23)ほど。悠々と三塁にたどり着く。
そのため、併殺打*1が非常に少なく、攻撃の勢いを切らない好選手とも言えます。
北海道日本ハム・西川遥輝選手は違う。過去2年間、シーズンの併殺打はいずれもたったの1。今年(2016年)も6月29日時点で73試合を終え、併殺打は1つもない。シーズンも半分が過ぎ、すでに折り返し地点を過ぎているだけに、「今年も」という期待がかかる。
また、ベースランニングにも秘密があり、
"加速度を上げて、最高速度で二塁(または三塁)まで到達する"ために、
意識して「走る軌道を変える」ように意識しています。
【参照動画】https://www.youtube.com/watch?v=-xj70s5Fu50
ナレーション
「一般的にベースランニングは、塁間を弧を描くように回るのが常識だ 。
だが、西川の場合は一塁まで直線的に走り、一二塁間で大きく膨らむ。
二塁を蹴った後は三塁まで、トップスピードに乗ったまま真っ直ぐ走るのだ」
_西川選手のコメント
「 (例えば) 三塁を狙う時は、一二塁間を大きく回るんです。
二塁打を狙うなら、一塁を蹴る前に大きく回るように…」
このように回ることで、トップスピードの維持ができると推測されます。
走る軌道(位置)にまで意識を向けることで、西川選手の類稀な身体能力が、いっそう発揮されるのです。
②優れた打球への反応
この足の早さは、守備でも活きています。
打球への反応、ボールが落ちる場所へと駆けていくのです。
↑ 空中を舞うがごとくナイスキャッチ。"エア・ハルキ"と称賛。
脚の早さ・加速度の高さ・打球反応の良さで広い範囲をおさえることができ、全ての野手のなかでも1番の守備数値を叩き出しています。
【参照】1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc.
そんな彼はどんな守備位置でも対応することができるために、
「"一番打者"が彼のポジション」(=守備位置は特に決められていない)
とも言われました。
かつて「智弁和歌山出身の最高選手」と言われども
名門・智弁学園和歌山高校の頃から「天才」と呼ばれ、1年夏から4度の甲子園大会出場を経験した高校時代。
高校野球ファンを唸らせる選手でした。
もちろん、私もその一人です。
↑ 細身の身体から放たれる、ライナーで伸び行く打球。その活躍振りはイチロー(現:マリナーズ)に例えられた。
2011年、ドラフト2位で日本ハムに入団しました。
かの斎藤佑樹投手らと同年の入団です。
西川は順調に一軍へと駆け上がっていきます。2年目の2012年から主力・田中賢介二塁手の怪我を埋めるように活躍。
2014年で139試合に出場、盗塁王のタイトルを手にし、初めてのタイトルを獲得。
日本プロ野球界にその名前を残すことができたのでした。
しかし、西川選手に一つの試練が訪れます。
器用ゆえに、自らの方向性が定まりきらなかったのです。
・遠くに飛ばせるパワー、力強さ
…その証左に、ライナーの打球がぐんぐん伸びてゆく。三番打者も夢じゃない。
・野手の間を狙い澄まして打つ
…まさに一番バッターとしてぜひ欲しい打撃。
両方できることは一種の才能です。
ですが、時に考えが纏まらず、中途半端なプロセス・結果になってしまうこともしばしばありました。
考えるほどに泥沼にはまっていく…いつしか「不調が長引く」ようになっていました。
西川選手は、非常に繊細な感性を持っているのです。
それから生じる注意緩慢なプレー…。
レギュラーの選手とは言えども、不動の地位に上り詰めるまではできていませんでした。
栗山英樹監督も、この伸び悩みをどう乗り越えるか熟慮せざるを得ませんでした。
(2015年)5月の時点で3割1分8厘あった打率は急降下。7月はアウトカウントを間違えて、捕球したボールをスタンドに投げ入れてしまい、8月にもボールカウントを間違えて塁を離れてしまう凡ミスを犯すなど、全ての歯車が狂っていた。
「遥輝らしくない。どうしたら…」
「一度、二軍で納得のいくまで調整させるべきかどうか…」
この時、西川は30盗塁を記録しており、二年連続の盗塁王のタイトルを取るチャンスでした。
「これを監督の手で捨て去ってしまうことは、残酷なのではないか…?」
タイトルと将来の伸びしろを天秤にかけざるを得ない状況に追い込まれたのです。
毎夜、布団に入れば、真っ先に浮かぶのが西川の顔だった。
高い期待からすれば、まったく納得できない働きぶりだった。
さまざまなアプローチを変え向き合ったが、それでも成績は上昇気配を見せなかった。
2軍降格は頭の片隅にあった。だが、盗塁数は頂点を争っていた。
「2年連続のタイトル獲得をオレが奪っていいのか…?」
そうして、栗山監督は決断しました。
プロ・アマ時代に、能力があるのにダメだった選手をたくさん見てきた。「このままで終わらせるわけにはいかない」。そう思うと、タイトルが小さく思えた。
「ここ(1軍)に置いておく方が、遥輝のことを愛していない」。自分なりの答えに行きついた。正解だったかは分からない。
「遥輝は怒っているかもしれない」。
もがいていたのは、西川も同様でした。
「落としてくださいって、自分から何度も言おうとしたんです」
非情の2軍降格を素直に受け入れていた。西川もタイトルより大きなものを目指していた。日刊スポーツ「勝負師として」~日本ハム・栗山監督 より引用
走塁・守備はすでにトップの域。あとは打撃の安定感だけが欲しい…
まだ24歳、されど時間は待ってくれません。いつ若い選手が背中まで迫ってくるかはわからないのですから。
西川選手は、打撃の心構えを一から考え直して、2016年シーズンを迎えました。
すべてを変えた。打撃フォーム、構え、トップの位置。さらに打席の立ち位置も捕手寄りに変更した。
「後ろ(捕手寄り)に立つとラインが視界に入るから嫌」と言い続け、智弁和歌山のときから持ってきたこだわり。それさえ、捨てた。
「2年も3年も結果が出なかったら、変えるしかないですよ」
普通、一軍で140試合も出るだけでも「いい選手」だという評価を受けているはずです。
打とうと思えば、ホームランだって打てる。実際、彼の打球はきれいな線を描いて伸びていきます。
しかし、2016年の西川は「守備の間を抜くような打球を打つこと」「粘り強くいること」を心掛けています。長所をさらに特化することを選びました。
事実、今年は自己ベストの74四死球を選び、安打数も148*3にまで増やしています。
そして2016年シーズン終了時、打率は3割の大台に乗せ、.314にまで伸ばしました。
日本ハム待望のトップバッターの誕生です。
2017年には「1番 センター」が定位置となる、期待通りの活躍を続けています。
【参照】個人年度別成績 【西川遥輝 】 | NPB.jp 日本野球機構
そんな飛躍を成し遂げた西川選手ですが、日本代表歴は未だありません。
今年のWBCにも選出が期待されましたが、若い人材集まる外野手での選出はありませんでした。
「前向きな言葉とともに」応援したくなる選手。
何でもそつなくできることは、まさに選ばれた才能。
かつて"甲子園のスター"とも言われた彼は、そんな星の元にある選手です。
ですが、時に"選択"ができず、中途半端に陥ることもあります。「自分は何を優先すべきなのだろうか…?」
私は彼の姿を見て、彼の才能は"努力によって支えられていた"ことを知ります。
2016年、西川選手の成果は、"特化"したことに現れています。
しかし、まだ24歳の彼は、道半ば。
この選手が、さらに長打を打てるようになったら…。
センターに守備位置を変えたら…。
叶うともわからない、未来予想図を期待してしまう選手なのは、間違いありません。
だからこそ、その夢に胸を膨らませ、ありったけの期待とともに
レフトスタンドから声を掛けるのです。
「今日もいいプレー、期待してるよ!」
そう声を掛けた試合は、おそらく通算で6回でしょうか。
なぜか毎回、素晴らしい1プレーを魅せてくれます。
レフト線へのタイムリーに、ホームへの好返球、後ろに下がってナイスキャッチ。
果たしてこれは、偶然でしょうか…?
実は聞こえているのかもしれませんね。これからも、応援し続けます。
参照書籍・グッズはこちら。
日本ハム コラムはこちらも参照にどうぞ