【コラム】待望のホームランバッター!大田泰示が日本ハムで覚醒する、3つの理由
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平成28年(2016年)11月2日、日本一になって間もなくトレードの一報が入りました。
巨人・大田泰示外野手(26)、公文克彦投手(24)と、日本ハム・吉川光夫投手(28)、石川慎吾外野手(23)による「2対2」の交換トレードが成立したことが2日、スポーツ報知の取材で分かった。
2012年MVPの吉川光夫投手を放出したこのトレードは「日本ハムの大損」と言われる中で、なぜこのトレードが成功する要素があるか…?
大田選手ひとりに絞って、ここに記します。
【大田選手がこれから活躍する、3つの理由】
まずは大田選手の経歴から…
まずは、大田 泰示(おおた たいし)選手について経歴をまとめます。
1990年、広島県三次市("みよし")生まれ。 188cm 95kg。
1年秋には4番に座り、2年秋には主将を務める。高校通算HR65本、デレク・ジーター*1を彷彿とさせる大型遊撃手であったことから、2008年冬に読売巨人軍にドラフト1位で指名され入団。松井秀喜以来の"背番号55"を与えられ、相当の期待が込められた選手だったことが伺える。
2009年、2010年と二軍の試合でそれぞれ、
・2009年:打率.238、17本塁打、56打点、16盗塁
・2010年:打率.265、21本塁打、70打点
を記録し、将来を渇望される選手であった。
しかし一軍では(2009年から2016年の8年間で)9本塁打しか記録できず、
2016年11月に吉川光夫・石川慎吾との交換トレードにより、公文克彦と共に北海道日本ハムファイターズへ移籍した。
188cm、95kgと大柄な体格に恵まれ、その将来像に大きなイメージを抱くこと間違いなしと言われた大田選手。
ひとりで広島県から神奈川県に進み、全国随一の強豪校でキャプテンを務めたことからも高い人間性も備えていると伺えます。
ここから、日本ハムで活躍する理由を記していきます。
①プレッシャーから解放され、目指す選手像が見えた
大田選手は日本ハムに移籍したことで、
「開き直れる環境」「自主性を尊重し、存分に磨ける環境」に身を置くことができるという幸運を掴みました。
当ブログでも書いた、栗山監督は大田選手をこう評します。
巨人の4番を打った素材。そういう状態にあるということ。
どうして調子が上下するのか? あれだけバットが振れる、足もある。
逆に『どうして』と聞きたい。
他球団のコーチ、監督も同じ感想でしょう。
間違いなく、高い潜在能力を持っているのです。
不遇の8年間?否、そんなことはない。
腐っても鯛、いやドラフト1位。
その裏付けは?188cm95kgの立派な身体に、50m走6.1秒の俊足。
そして、かつて背負った、
「松井秀喜以来の背番号55」「読売巨人軍第81代目4番打者」という肩書き。
この過去が「誰にも負けぬ個性を持っている」事実をもの語っています。
さらに栗山監督はこうコメントを続けました。
(大田選手に)お願いしたのは、"思い切りやってくれ"ということ。
打席に入って、フルスイングで3回三振してもいい。そういうのがあれば、必ず前に進む。そんな話をした。
大田選手自身も、不遇と見られる巨人時代をこう振り返ります。
Q. _過去から解放されましたか?
"解放はされないですよね…。
自分の過去というのは消せないですし、ジャイアンツでやってきた8年間というのは苦しいものもありましたけども、人間として成長できたと思います。"
2017年6月10日 HTB(北海道テレビ)番組「FFFFF(エフファイブ)」 より
②大田の獲得は中期的戦略であり、裏付けある補強である。
大田選手の獲得には裏付けがあります。
普通、"ホームランバッター"と呼ばれながら8年間で9本しか打てな買った選手に、どの球団が欲しいと思えるでしょうか。
普通ならどの球団も手をつけないはずです。
しかし、日本ハムは真っ当なリスクを取ります。
MVP投手に24歳のホープを放出してまで、大田選手を採りました。
なぜなら、主力であった陽岱鋼選手の後釜が絶対的に必要だったのですから。
陽選手には 絶大な守備の安心感をもたらす好選手です。
しかし、陽選手には「怪我への耐性」が失われていました。
事実、2013年に「47盗塁/成功率8割以上」を記録した走力は落ち、2016年には「5盗塁/成功率5割」と、精度や施行数が出せなくなっています。
これから、年間を通して一軍に居られる可能性は低いかもしれない。
ならば、陽岱鋼に取って代わるなら、この類い稀な身体能力に並べる選手は…?
大田選手には高校時代より持っている身体があります。
日本ハム球団が目をつけたのも、この未知数のポテンシャル故にでしょう。
③言葉の力と、多くの"師匠がいる"チーム
「伸び悩んだ」 「無理だ」「未完の大器で終わる」と言われた一人の選手が、
言葉の力によってどれほどまでに変化し、成長し、どんな悟りを得てゆくのか?
そして、賢明な努力でレギュラーを勝ち取ったレアード選手、西川選手、近藤選手とモデルとなる選手が多く関わり、自身の野球への見方を広げることもプラスになる…。そう実感しています。
読売新聞記者の吉原 淳(よしわら じゅん)氏は、著書で以下のようにコメントしています。
この年(2013年)のフォームは、2012年にホームランを打った時のフォームとはずいぶん変わっていた。というより、大田のフォームは毎年、いや見る度に変わっているといっても過言ではないくらい変わっていた。
様々なアドバイスがあった影響があるのだろう。大田のようなポテンシャルに恵まれた選手は誰でも指導したくなる。(中略)
あるいは、いろんなアドバイスを聞きすぎて、バッティングが固まらない可能性もある。大田のバッティングは悪い方向に進んでいるように見えた。
「大田泰示 秘められたその才能 ~だから私は期待する~」 吉原淳 より引用
大田選手もまた二物も三物も才能を持った選手です。
本人が望めば遠くに飛ばす選手にも、コツコツ当てて脚の速さを生かした選手、どちらにもなれたはずです。加えて市場価値からしても、遠くに飛ばす選手となる方が稀少となれたはずです。本人もそれを望んでいたはずです。
しかし、どちらかに振れる猶予は与えられなかった。
「打点が少ない」はたまた「打率が低い」「守備が雑…」と一気に3つ、4つと合格しないといけない余裕もない環境。
球団としても、複数のことに目を瞑ることのできない状況だったのだと推測されます。
もしこれで数年後、一定の成功を収めるに至ったのであれば双方のファンにとって嬉しいこととなるはずです。
大田泰示。190cm近い巨体を持つ彼が、どんな選手となってくれるか、その才が花開くのではないか…?大いに期待したいところです。
※2018.5.10 追記 2017年は自己ベストを記録!2018年も躍進中…!
日本ハムに移籍後、2017年4月末に一軍昇格をはたした大田選手。
2017年のシーズンは118試合に出場し、巨人時代8年間の通算ホームラン数を超える数字を記録しました。
巨人時代と比較すると、変わったのは4点。
・三振に対するイメージが良い環境であること
・持ち味を出すためフォロースルーを大きく、遠心力を活かしたスイングに変える
・そのため、流しても長打を打てる実感を得たのでボールを見る余裕ができた
・さらに西川・近藤・中島卓 3選手に、外角や2ストライク時の対応法を得た
ことが大田選手が躍進した理由です。
さらに選手をフォローするコーチ陣の存在も大きく、大田選手のコメントからその安心感が伺えます。
日ハムは練習を終えるのも休むのも、選手の自由です。コーチも細かいことを言いません。ただ、こちらの疑問にはしっかりと答えてくれます。
ボクは毎試合前にトレーニングコーチと、5分ほどミーティングをしている。自分の打撃動画などを見ながら、不安な点があればぶつけているんです。『打球がセンター方向に飛ばないんですが』と聞けば、身体の動きを解説しつつ『上半身の開きが早い』と的確な指摘をしてくれる。
上から押しつけられる指導ではなく、悩みに応じて納得のいく改善方法を提示してくれるので安心してプレーに取り入れられます。
僕たちは期待する_。
大田選手の「ファイターズ最高!」が聞こえることを_
2018年も期待して、観戦しましょう!
※「北海道日本ハムファイターズ」の試合をTVで観るなら。
どちらかに登録して、視聴可能。
「日本ハムコラム」はこちらもどうぞ。
*1:アメリカMLB・ニューヨーク・ヤンキースの遊撃手。打撃・守備が素晴らしく、1994~2015年の20年に渡って活躍した