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“執念”が欲しい?それなら棋士・村山聖を描いた「聖-天才・羽生が恐れた男-」は必読なり。


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松山ケンイチ東出昌大が主演の映画「聖の青春」が燃え盛っているようですが、こちらも大作です。

映画『聖の青春』 大ヒット上映中!

 

 

 

盤上に魂を打つ! 故・村山聖(むらやま さとし)九段の圧倒的生涯!

__棋界に、「次期名人この人あり」と謳われた天才棋士がいた。村山聖九段。昭和44年、広島県出身。

幼いころより難病を患い、その限られた生を将棋だけに捧げ、29年の生涯を燃焼させた男。これは、そんな彼の魂の記録である……

 

ひとこと、感想を申し上げるならば、

「ひとの魂は、こんなにも惹きつけるものなのか」と、魂が震えました。

 

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羽生善治(左)と13回の対戦を繰り広げた。(写真は1998年NHK杯決勝、羽生との最後の一戦)

 

作品の主人公・村山聖(むらやま さとし)は実在した棋士(1969~1998)で、

かの羽生善治(はぶ よしはる)と同世代(いわゆる「羽生世代」)をの一人でした。

【参照】

村山聖 - Wikipedia

村山聖の壮絶な人生を綴った『聖の青春』を読んで。羽生善治に並ぶ天才と称された男の生き様に何を思うか? - あきさねゆうの荻窪サイクルヒット

 

 

http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/cb/d2d25569a195694c6b582801a3f331e3.jpg

↑ 村山の師匠・森信雄が撮った写真が残っている。対局中の険しさとは無縁の、にこやかな表情。

 

そして、この作品は一部フィクションを交えつつ、彼の生涯を描いています。

 

 

その羽生は村山と13戦戦い、7勝6敗と辛うじて勝ち越しています。

当時8つあるタイトルを7つも獲得するほどに強かった羽生と、接戦を繰り広げたのが村山でした。

 

 

病と同居する運命を背負った主人公

村山は5歳にして腎臓の難病・ネフローゼ症候群を患い、以後24年にわたってその病と向き合いながら将棋を続けます。

 

「この状態で指せるのか」と思うほどの村山の執念が、紙面から伝わってきます。

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この作品を描いた山本おさむ氏の画力も見所です。

この漫画を描いていた同じ頃、山本氏の妻が村山と同じ病気・セフローゼ症候群を患い、その闘病中に描いていたとのこと。

 

生きるか死ぬかの世界に身を投じて戦う、棋士達のエネルギーを感じます。

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 棋士には数多くの対局が組まれている。そして勝てば勝つほど対局は増えていく。病身の聖にとっては将棋を指すことは、そして勝つことは文字通り命を削る行為であっただろう。

 私は妻の死の余韻の中で、約3ヶ月にわたって死へ向かう聖を描くこととなり、聖への鎮魂は妻へのそれと重なっていた。_

 

_将棋界には大山・升田時代とはひと味違った個性的なキャラクターが続々登場しており、その魅力を伝えたいというのも本音の眼目の一つだった。

 プロの将棋界は高度で、その棋譜の妙味を漫画に表現することは不可能に近いが、対局の底に流れる凄まじい熱気のようなものは何としても描いてみたかった。

-9巻 山本おさむ「あとがき」より-

 

 

病に命を追われ、明日をも知れない村山は、病気・死の苦しみから「将棋を指すこと」に希望を見出し、将棋の称号たる「名人」を志します。

そして彼は何を悟り、何を残して命を燃やし尽くすのか

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僕もそうなのですが、「目標」「野望」がないと快楽に傾くんですよ。

そうして自分のなかに「情熱」が消え失せ、惰眠を貪る

ただ生きているだけという状態になるのです。

 

自分の天命は何なのか?今、何に魂を燃やすべきなのか?

 

 

じぶんのなかに執念を取り戻す一作です。

全部で9巻。ぜひ読んでみてください。